Ubuntu通信:CentOS プロジェクトが終了しCentOS Streamへ
CentOSプロジェクトが終了するというアナウンスがされました。本記事では、その詳細や影響について解説いたします。
テクノロジーコラム
- 2021年01月13日公開
みなさま、新年あけましておめでとうございます。
「Ubuntu通信」というタイトルでお届けしている本記事ですが、今回はCentOSにまつわるお話がメインです。
CentOS 8のサポート終了とCentOS Streamへの移行
ご存じの方も多いと思いますが、CentOSプロジェクトは終了してCentOS Streamプロジェクトのみとなり、CentOS 8のサポートは2021年12月31日で終了することが先日アナウンスされました。
- ● [CentOS Streamプロジェクトに移行する旨の声明]
https://blog.centos.org/2020/12/future-is-centos-stream/?utmsource=rss&utmmedium=rss&utm_campaign=future-is-centos-stream - ● [Redhat社による経緯や今後のサポートに関する説明]
https://www.redhat.com/en/blog/faq-centos-stream-updates#Q1
CentOSはプロダクション環境でよく利用されているディストリビューションですので(特に日本では人気が高い)、この決定は多くの方にとって驚きをもって受け止められたようです。
CentOSは、RHELに対して商標や商用パッケージの削除や置き換えを行ったディストリビューションで、基本的にはRHELとほぼ同じOSと言っても差し支えありません。そのため、安定性を求める環境や、RHELとの互換性が要求される環境で、よく利用されてきました。
一方で、CentOS Streamは、RHELのベータ版のような位置づけです。CentOS Streamで問題ないことが検証されたら、RHELがリリースされます。とはいえ、FedoraのようにRHELから大きく離れて先進的・実験的な機能を取り込むディストリビューションではなく、あくまでも、完全に検証される前のRHELが先出しされている、と考えていただければと良いと思います。
このため、CentOS Streamは、CentOSに比べ、検証の十分さという面では一歩劣る位置づけとなります。ただし、これはあくまで開発プロセスの話であり、現実的にどの程度安定性に差が生じるかは不明です。
一方でメリットもあり、CentOS StreamはRHELのプレ版という位置づけであるため、新しい機能をRHELやCentOSよりも早いタイミングで使えるほか、Red Hat Bugzillaでバグ管理をしていることもあって問題の修正はCentOSよりも素早く行われるはずです。[1]
[1]Redhatのエンジニアの方による参考情報:https://rheb.hatenablog.com/entry/202007-fedora-distribution
CentOSユーザーの選択肢
この決定を受けて、CentOSユーザーのみなさまは、以下のような選択肢を考えているのではないでしょうか。
- ● RHELに乗り換える。
- ● CentOS Streamに乗り換える。
- ● CentOS 7に留まる、もしくは8から7にダウングレードして、様子を見る(CentOS 7は当初予定通り2024/6/30までサポートが続きます。よって、7の方が8よりも2年半ほど長くサポートされることになります)。
※Rocky Linuxなど、従来のCentOSの路線を踏襲したディストリビューションも立ち上がっていますが、現時点ではリリース予定も立っておらず、先行きは不透明です。[2]
上記いずれも一長一短がある選択肢だと思いますが、さらに別の選択肢として、Ubuntuへの乗り換えはいかがでしょうか。
Ubuntuの特徴
- ● Ubuntuは無料で利用ができます。また、提供されるパッケージやカーネルのバージョンはRHEL(およびCentOS, CentOS Stream)よりも新しいものがほとんどで、先進的な機能を検証済みの状態で利用できます。
- ● Ubuntuは、特に海外ではプロダクション環境でも高いシェアを占めています。そのため世間的にナレッジも多く、各種アプリケーションにおいても、RHEL/CentOSと並んで、Ubuntu向けの手順やパッケージが用意されている事例が豊富にあります。
- ● 2年に一度リリースされるLTSリリースは、Ubuntuの商用サポートであるUbuntu Advantageサポートライセンスを購入しなくても、5年間サポート(パッケージ類のアップデート)されます。
- ● UbuntuAdvantageライセンスを購入いただくと、前記の5年間サポート終了後も、更に5年間の延長サポート(Extended Security Maintenance)を受けられます。ほかにも、OS再起動なしでカーネルを更新できるライブパッチなど、様々なサービスを利用できます。[3]
- ● Ubuntu導入後、途中からUbuntu Advantageのライセンスを購入いただくことも可能です。
上記のようなメリットがある一方で、UbuntuはDebian系統のLinuxディストリビューションであり、パッケージシステムや各種設定方法が、RHEL/CentOSとは異なる部分があります。
それら影響などを踏まえて、導入をご検討いただくと良いでしょう。
[2]Rocky Linux : https://rockylinux.org/
[3]Ubuntu Advantageの詳細 : https://ubuntu.com/legal/ubuntu-advantage-service-description/ja
Ubuntuが気になったら
NTTテクノクロスでは、Ubuntu Advantageについて、日本語による窓口および、円立てによる購入をご提供しています。
もし少しでも興味がございましたら、ぜひお気軽にお声がけください。
詳細は、以下の「Ubuntu商用技術サポートサービス」をご覧ください(お問い合わせ先も、同ページ下部に記載してあります)。
Ubuntu Advantage以外でも、Ubuntuでお困りのことがございましたら、ぜひNTTテクノクロスにお問い合わせください。
※なお、UbuntuおよびUbuntu Advantageのサポート期間については前回の記事でも解説していますので、ご覧ください。
Ubuntu通信:Ubuntu Advantage for InstructureでOpenStackのサポート期間が長くなりました!
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