OpenStack Summit Sydney 参加レポート (1日目)
今回で16回目となるOpenStack Summitですが、オーストラリアでは初開催。南半球ではこれから夏本番という気候です。現地の暑さに負けないホットなレポートを3日連続でお届けしていきますので、最後までよろしくお願いします!
テクノロジーコラム
- 2017年11月07日公開
はじめに
こんにちは。NTTテクノクロスの萬治です。
11/6~11/8で開催中のOpenStack Summit Sydneyに参加中です。
今回で16回目となるOpenStack Summitですが、オーストラリアでは初開催。南半球ではこれから夏本番という気候です。
現地の暑さに負けないホットなレポートを3日連続でお届けしていきますので、最後までよろしくお願いします!
Opening Keynote
1日目、OpenStack Summitの始まりは恒例のKeynoteから。
今回の開催場所である「International Convention and Exhibition Centre」の、2階と3階をぶち抜いた大ホールにて開催されました。
Keynoteで気になったトピックをいくつかご紹介します。
公式プロジェクトの追加
何気無く写し出されたプロジェクト一覧。今回は「Masakari」「Blazar」という2つのコンポーネントが新しく公式プロジェクトとして追加されています。
Masakari: VMHAを実現するためのコンポーネント
Blazar: OpenStackのリソースの予約機能を実現するためのコンポーネント
実はこれらのコンポーネントはNTT社員を中心メンバとして開発しており、弊社でも積極的に開発や検証を行なっているコンポーネントでもあります。
The OpenStack Public Cloud Passport
OpenStackで構築された各社のプライベートクラウドサービスを、無料でトライアルできるプログラムが発表されました。
詳細は以下のサイトで確認できます。
https://www.openstack.org/passport
具体的な使用条件などは未調査ですが、「OpenStackの導入を検討しているが、何ができて何ができないのか気になる」などの悩みを持っている方には嬉しいプログラムですね。
Super User Award
今回のSuper User Awardには4社ノミネートされ、選ばれたのは中国の「Tencent TStack」でした。
ノミネートされた企業は以下の4社です。
・China Railway Corp
・China Union Pay
・City network
・Tencent TStack
個人的にはAwardそのものよりも、「ノミネートされた4社のうち3社が中国企業であった理由」に注目すべきだと思っています。
ノミネートされた企業から推察するに、中国ではOpenStackが交通や決裁インフラの基盤として大規模に使われ始めているようです。
中国以外にもインド、オーストラリアなどで政府組織やインフラの基盤としてOpenStackが活用され始めており、OpenStackの成熟度、安定性がかなりの水準に届いていることを実感できます。
Keynote内でも「OpenStackが使われている4つの分野」として、政府組織が挙げられていました。
日本国内でもOpenStackの安定性、コストメリットが高い水準であることが認知されれば、大規模な基盤の更新の動きが出てくるかもしれませんね。
Keynote内では他にもAT&Tによる「次世代のOpenStackで実現したい取り組み」の紹介や、Ironicによるベアメタルデプロイの使用率が急激に上昇していることに触れていました。
今日の注目セッション:
今日の注目セッションについては、新倉から紹介させていただきます。
私はTokyoサミット以来2回目のSummit参加で、今回のSummitではtelecom, NFV/SDN, Neutron関係のセッションを中心に見て回ろうと思っています。
そんな中、初日で注目したセッションがこちら。
Warp-speed Openvswitch: Turbo Charge VNFs to 100Gbps in NextGen SDN/NFV Datacenter
事前調査で
・DPDK
・VNF with SR-IOV
・VNF with OpenVSwitch
・OVS offroad (SR-IOV with OVS control-plane)
などの面白そうな話題が含まれていることを知ってから、とても気になっていたセッションでした。
セッションの内容としては、DPDKやSR-IOVなどの通信スループットを上げるための技術(通信が遅くなるポイントを無くすための技術、と言った方がいいかもしれませんが)を使っていくつかの構成例を示し、iperfによる負荷テストの結果を示すものでした。
これらの技術を使ってスループットが改善された結果のグラフやネットワークの構成図などを見ると、技術者として非常にワクワクしますね。
短いセッションでしたが、自分でこれらのシステム構成を適用してみて自分の目で動きを見たくなりました。
セッションの前後でも周辺で技術者が集まってセッションに関連する議論を交わしており、OpenStackを中心に技術者を結びつける場としてSummitが機能していることを実感できるセッションでした。
Market Place Mixer
1日目の終わりに、各社の出展ブースを回る「Market Place Mixer」というイベントが実施されました。
オーストラリアのビールを含む各種お酒や、ハンバーガーなどの食事を食べながらブースを周ります。
人とぶつかりそうなほど混みあっていて、かなりの熱気を感じました。
途中こんなオーストラリアらしい一幕も・・・?
遊んでいるように見えますが、ただ遊んでいるわけではありません。
こういったイベントは、技術者同士が国や企業を超えて交流しやすい環境を作り出してくれる大変貴重な機会です。
私も、ニュージーランドのクラウド関連企業の方といろいろお話をさせていただきました。
最優秀ノベルティ!?
「イベント参加と言えばノベルティ収集!」という人がいるほど、イベントで配布されるノベルティには注目が集まります。
今回のサミットでも、多くの参加者がTシャツや帽子、ペンを手に入れようと行列を作っていました。
そんな中、私の周囲の方々も含めて最も高評価だったノベルティがコレです!
最近流行のハンドスピナーなのですが、見事にKubernetesのロゴを表しています!
思わず「おっ!」と声を出してしまう素敵なノベルティでした。
前夜祭: OpenStack日本人会の様子
Summit前日(11/5)に日本人会が開催され、弊社メンバも参加してきました。
参加者同士で積極的な情報交換が行われ、お酒の力で緊張も解れて有意義な時間を過ごせました。
日本中から総勢80名程のOpenStack利用者、運用者そして開発者が一同に介する貴重な機会。
色々な立場の人と「注目するセッション」「自社のOpenStackに対する取り組み」などについてお話させていただきました。
注目するセッションについてはKeynoteの内容を見てから決める方が多く
初めてお会いする方々と注目セッションを当てあう光景も見られました。
その他、日本人会での話題としてはOpenStackの導入/運用について話題に上がっていました。
2,3年前ではOpenStackを導入してもクラウド運用のノウハウが少ないことや
運用トラブルが多発し、軌道に乗らないパターンが多く見られました。
しかし、今回お話させて頂いた中では自社でのOpenStack運用が安定してきているとの声がいくつもあり
各コンポーネントの機能が安定してきたことに加え、各社OpenStackのノウハウが溜まってきている証拠だと思います。
その他、話題に上がっていた内容としては以下のコンポーネントがありました。
・Masakari(障害からインスタンスを自動復旧することでインスタンス高可用性を提供)
・Blazar(OpenStackの各種リソース予約を提供)
・Tacker(NFVプラットフォームにVNFMとNFVOを提供)
上記コンポーネントに関連するセッションについては、後日レポートでご紹介できればと思っています。
おわりに
以上、OpenStack Summit Sydneyの1日目のレポートでした。
萬治はOpen Stack Summit初参加&初海外出張でドキドキワクワクしていたのですが、なぜか会場周辺の景色がどうも見慣れてるように感じられます。
...これ、みなとみらいだ!
弊社メンバで「Darling Harbour = みなとみらい」と大盛り上がり。