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Salesforce MVP 鈴木貞弘の「Agentforce 匠指南」シリーズ 第5回: 匠が展望するAgentforceの未来と拡張戦略

本記事では、長年のSalesforceエコシステムでの経験と、最新のAI技術への取り組みを通じ、新しいブログシリーズ「Agentforce 匠指南」を始めます。全5回にわたり、Salesforceの未来を担うキーテクノロジーであるAgentforceについて、基礎から応用、そして展望までを、私の「匠の視点」で徹底的に紐解いていきます。

1. はじめに:シリーズのまとめとAgentforceの旅路

5回の「Agentforce 匠指南」シリーズも、ついに最終回を迎えました。

1では、MVPの視点からAgentforceの基礎と革新性を解説し、2でアーキテクチャを解剖。3ではGolden Hoodie保有者としてのTipsとともに実装ステップをガイドし、4では本稼働に向けたベストプラクティスと課題克服を深掘りしてきました。この旅を通じて、皆さんがAgentforceを単なるツールではなく、ビジネスの変革ドライバーとして捉えていただけたなら、私の「匠」としての役割は果たせたと感じています。

このシリーズをここまでお読みいただき、心より感謝申し上げます。私の経験を基に、現場の知見を共有してきました。20259月現在Agentforce 3の登場でAIエージェントは急速に進化していますが、まだ始まったばかりです。最終回では、私の想像としてAgentforceの未来を展望し、カスタム拡張の可能性と企業戦略を語ります。Salesforceのロードマップに基づき、皆さんの次の一手を提案します。Agentforceがもたらす未来を一緒に描きましょう。

2. Agentforceの進化予測:Salesforceロードマップから見えるAIの次なる波

Agentforceは、SalesforceAI戦略の核心として、2025年後半に向けたロードマップでさらに飛躍します。Summer '25リリースで数百の新機能が追加されましたが、2025年の焦点はマルチエージェントシステムの台頭です。単一エージェントの自動化を超え、複数のエージェントが連携する「デジタル労働力」として進化するでしょう。

私のビジョンでは、Agentforceは以下のように変貌します。以下に、2025年後半のロードマップに基づく進化をテーブルでまとめます。

進化領域

予測される機能

ビジネス影響

マルチエージェントの時代

部門横断連携(例: 営業エージェントとサービスエージェントの自動ハンドオフ)

Command Centerの進化で協調監視が可能に。MCP統合による連携で業務効率が大幅に向上する可能性(例: リアルタイムデータ共有と自動調整プロセスで、クエリ処理を最適化)。

AIインタオペラビリティの向上

MCP拡張(7月アップデート以降)の加速、第三者AIモデル(例: Titan)とのシームレス統合

データ品質自動化でエージェント精度向上。2025年末までに「AIオーケストラ」としてSalesforceエコシステムを統括。Command Center分析でモデル調整を繰り返し、全体精度を大幅に向上させるプロセスを想定。

トレンドの影響

ゼロショット学習の強化、非構造化データ処理の進化

リアルタイム予測が標準に。倫理的AI(バイアス低減、プライバシー保護)が鍵で、導入企業は早期対応を。

これらの進化は、Agentforceを「未来のデジタル労働力」として位置づけ、ビジネス変革を加速させるでしょう。

3.  カスタム拡張の可能性:Agentforceをあなたのビジネスにカスタマイズする

Agentforceの真価は、標準機能を超えたカスタム拡張にあります。Summer '25Agent Builderのローコードツールが強化され、外部システムとの連携が容易になりました。

 ・外部システム連携: MCPAgentExchangeを活用し、社内ERPや外部APIとの統合。2025年のロードマップでMCPのオープンスタンダード化が進み、プラグアンドプレイが可能に。
例:Agentforceが社内ツールと連携し、リアルタイム在庫確認を実現。カスタムApexで拡張すれば、標準機能では対応しきれない業務ロジックを柔軟に構築できます。

 ・独自AIモデル統合: Einsteinや第三者モデル(例: オープンソースLLM)をAgentforceに組み込み、カスタムSkillsを作成。Summer '25の新機能で、モデルコンテキストのセキュア共有が容易に。適用例:VS CodeAI支援でOpenAPIを生成し、Agent Actionsとしてインポート。業界特化の予測モデルをMCP経由で統合し、Command Centerのメトリクス分析で精度を向上させる。

 ・拡張の限界と注意点: 拡張時はTrust Layerのガバナンスを徹底。2025年のAI倫理ガイドラインに基づき、バイアスチェックをルーチン化。カスタム拡張は「柔軟性」を生むが、Salesforceのプリビルド(100以上)を基盤にすべき。

これにより、Agentforceは汎用ツールから、あなたのビジネス専用エージェントへ進化します。

4. 企業としての戦略的導入:Agentforceを全社施策に位置づける

Agentforceの未来を活かすには、企業全体の戦略が不可欠です。私の経験から推進のポイントを共有します。

 ・位置づけの明確化: Agentforceを「デジタル変革の柱」として全社ロードマップに組み込み。2025年のSalesforce戦略では、AgentforceCRMの次世代基盤に位置づけます。トップダウンでAgentforceKPIに連動させ、導入ROIを測定。まずはパイロットプロジェクト(例: サポート部門)から始め、成功事例をスケール。

 ・推進のステップ: TEAMSモデルを活用(第4回参照)。Task(要件定義)からScale(全社展開)まで、Command Centerで進捗追跡。2025年後半のマルチエージェント機能で、部門間連携を強化。課題克服として、スキルトレーニングを重視。Trailblazerコミュニティを活用し、社内エバンジェリストを育成すると、導入速度が飛躍的に向上。

 ・戦略的視点: Agentforceを全社のAI基盤に位置づけ、MCPで外部パートナー連携。これにより顧客体験(CX)が大幅に向上する可能性(例: MCP統合とCommand Centerのリアルタイム最適化プロセス)。企業は、データガバナンスと倫理を優先し、持続可能な導入を。

これらの戦略で、Agentforceは競争優位性を生み出します。

5. おわりに:Agentforceの旅はまだ始まったばかり、一緒に未来を創ろう

Agentforce 匠指南」シリーズを全5回ご覧いただきありがとうございました。このシリーズを通じて、Agentforceの基礎から未来までを共有し、皆さんのSalesforce活用を少しでも後押しできたなら幸いです。私はMVP Hall of Fame入りとして、またTrailblazer1人として、AgentforceAIの民主化を加速させる未来を信じています。2025年は、マルチエージェントの年ですが、まだ始まったばかりです。皆さんが自社の「匠」として、Agentforceをカスタマイズし、ビジネスを変革する姿を想像するとワクワクします。

皆さんの次の一手として、以下のToDoリストをおすすめします:

 ・Salesforce公式サイトでロードマップを確認し、2025年後半のAgentforceアップデートをチェック。パイロットプロジェクトの計画を立てましょう。

 ・小さな拡張プロジェクトを始める。MCPを使って外部ツールを1つ連携させ、Command Centerでテスト。Trailblazerコミュニティでフィードバックを共有しましょう。

 ・社内トレーニングを実施。TEAMSモデルを基に、チームでAgentforceのワークショップを開催。コミュニティイベントに参加し、先人たちの知恵を借りましょう。

一緒に未来を創る仲間を歓迎します!コミュニティイベントで、さらに議論を深めましょう。

連載シリーズ
Agentforce匠指南
著者プロフィール
鈴木 貞弘
鈴木 貞弘
2000年にNTTテクノクロスの前身であるNTTソフトウェアに入社。Service Cloudでのコンタクトセンター構築案件に数多く従事。Salesforceエバンジェリストとして2017年に日本人初の非開発者系MVP、Golden Hoodie Awardを受賞。2023年にはSalesforce MVPの殿堂入り。日本で初開催となるAgentforce Community Tourを主催するなど業界の先駆者(Trailblazer)として活躍中。