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エンジニアが本気で⼩学⽣向けプログラミング教育をやってみた

NTTテクノクロスに在籍するエンジニアがおくる「⼩学⽣向けプログラミング教育」のブログです。

1.はじめに

こんにちは。NTTテクノクロス IoTイノベーション事業部の神長 貴博(ジンチョウ タカヒロ)です。

本日より 「エンジニアが本気で⼩学⽣向けプログラミング教育をやってみた」 と題し、ブログを書くことになりました。 よろしくお願いします。

さて、ブログのテーマである 「小学生向けのプログラミング教育」 は、 2020年度から本格導入されたこともあり、近年インターネットや新聞・雑誌等、様々な媒体で取り上げられる、非常に注目度の高い分野です。

このブログでは、私が中心となり2018年から取り組んでいる「⼩学⽣向けプログラミング教育」を通して得た、実体験に基づく情報を発信していきます。

第1回は、一般的なIT企業の社員である私が 「⼩学⽣向けプログラミング教育を始めたきっかけ」「これまでの活動」 を紹介します。 将来的に同様の活動をしてみたい・活動に興味がある方にとって、少しでも役に立てればと思っています。

2.⼩学⽣向けプログラミング教育を始めたきっかけ

今から遡ること2年前、私の長男と長女が、後に初めて「⼩学⽣向けプログラミング教育」を行う学校である 「川崎市立上丸子小学校」(以降、上丸子小学校) で一緒に過ごす最後の年でした。私は、その年の始めから、長男の卒業前に記憶に残るイベントをやりたいと思い、空き時間を見つけてはアレコレ考えを巡らせていました。 そうした中、ふと見たニュースサイトで、2020度から「⼩学⽣向けプログラミング教育」が開始されることを知りました。

私が、業務の一貫で社員向けの技術研修の講師や勉強会を主宰してたこと、仕事に関わる技術分野以外でも発信の場を求めていたこともあり、 「⼩学⽣向けのプログラミング教室」を開催したら面白いのでは?と考えました。

そして、この考えを町内会の活動で知り合った上丸子小学校のPTA関係者に相談したところ、 川崎市教育委員会における寺子屋事業の主催者 を紹介頂き、 調整・話し合いの末、 寺子屋事業※1の一貫として、 2018年3月 上丸子小学校で「第1回 ⼩学⽣向けのプログラミング教室」の開催に至りました。 写真は、当時の様子です。私が講師、長男と妻が講師補助、娘が聴講者として参加しました。

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また、社内的な調整は、同時期に上司が横浜市の中学校でキャリア教育 ※2 を行ったこと、 弊社が以前より様々なCSR活動に取り組んでいたこともあり、難航することもなく、寧ろ追い風となりました。

これを皮切りに、現在に至るまで、様々な場所、形態で「⼩学⽣向けプログラミング教育」を行うこととなり、 当初1人で始めた活動も現在では、 社員8名、他社社員3名 の活動にまで成長しました。

※1 寺子屋事業は、川崎市教育委員会が主宰する「放課後の学習支援、体験学習・地域の世代間交流」を目的とした活動です。(詳しくは、以下HPを参照してください。)

川崎市教育委員会 寺子屋事業HP(http://www.city.kawasaki.jp/880/category/10-14-0-0-0-0-0-0-0-0.html)

※2 2-1. キャリア教育の紹介を参照願います。

2-1. キャリア教育の紹介

(この節だけ、著者が代わります。)

神長と同じチームで活動している、IoTイノベーション事業部/生産技術革新センター/営業推進部の神原 健一(カンバラ ケンイチ)です。私が取り組んできたキャリア教育について、紹介させていただきます。「この業界の魅力を子供たちに伝える!」をテーマに、学校を訪問し、この業界のお仕事の内容を伝える活動を数年前から実施しています。これまで小中学校や大学を訪問させていただきました。写真は、横浜市立東山田中学校を訪問させていただいたときの様子です。

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世の中にはたくさんの仕事があり、それぞれ異なったやりがいや大変さがあります。 我々はICT業界の一員として実際に働いている立場から得た気づきを子供たちに伝えられれば、未来を担っていく子どもたちが将来を考えるヒントにしてもらえるのではないか と考え、取り組んでいます。

そんな活動をしてきたときに、神長から⼩学⽣向けプログラミング教育についての相談がありました。その話を聞いたときに、 我々が業務として取り組んできた経験の一部を社会に還元させていただくよい機会になるのではないか と考えました。社内関係者と早速相談したところ、前向きな反応があり、取り組んでもらうことになりました。以上、簡単ですが、キャリア教育の紹介とその後の動きについてでした。

3.これまでの活動

私は、2018年3月〜現在までの間、 ビジュアルプログラミングソフト ※1Scratchを利用し、様々な形態でプログラミング教育を行ってきました。 ここでは、活動形態毎の内容、当時の様子を紹介します。

  • ① プログラミング体験イベント
  • ② プログラミング教育
  • ③ クラブ活動
  • ④ 全日本教育工学研究協議会全国大会
  • ⑤ オンラインコンテンツ公開

※1 ビジュアルプログラミングソフトとは、簡単な操作(ドラッグ&ドロップ等)でプログラムコードに相当するブロックをつなぎ合わせ、プログラミング体験ができるソフトです。Scratch以外では、micro:bit、Viscuit等が、教育現場で良く利用されています。

① プログラミング体験イベント

2018年〜2020年の間に、寺子屋事業をはじめ、計3回のプログラミング体験イベントを企画・開催しました。 イベントでは、児童とその保護者の方々、先生達と一緒にパソコン/タブレット使い、簡単なアニメーションの作成しました。

どのイベントでも、非常に多くの人が集まり、開催の度に「プログラミング教育」への関心度の高さを実感することができました。

  • 2018年3月、5月、8月 川崎市教育委員会 寺子屋事業 上丸子小学校 1〜6学年の児童 113名

  • 2019年10月 新島村立新島小学校で小学生+教員 12名

  • 2020年2月 みなとみらい本町フェスティバル SDGsブース出展 横浜市立本町小学校 1〜6学年の児童 180名

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② プログラミング教育

2019年11月と12月に上丸子小学校の5〜6学年の児童(各4クラス:80名)に、プログラミングの授業を行いました。 授業の中では、プログラミングの概念やパソコンを使い、簡単なプログラムを2本作成しました。

授業開始当初は、パソコンに不慣れな児童が多かったのですが、プログラムの作成過程で、パソコンの操作も憶え、作成したプログラムをカスタマイズする児童もみられました。

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③ クラブ活動

2019年5月〜2020年2月 同校の4〜6学年の児童(34名)が所属するパソコンクラブ活動の指導を行いました。

指導にあたっては、私以外に他社のエンジニア2名に参画してもらい、ゲームアプリと児童が書いたイラストをプログラムに取り込んだアニメーションの作成を行いました。 1年間のクラブ活動を通して、数多くの才能と独創的なアプリに出会うことができました。

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なお、ゲームアプリのサンプル、児童が作成したアニメーションの一部をScratch公式サイトで公開してます。是非見てみてください。

ゲームアプリのサンプル(https://scratch.mit.edu/projects/385141403/)

児童が作成したアニメーション(https://scratch.mit.edu/projects/384823936/)

④ 全日本教育工学研究協議会全国大会

この活動では、児童にプログラミングを教えるだけでなく、活動の過程で得た経験や情報を先生と協力して論文にまとめ、 年に1度開催される「全日本教育工学研究協議会全国大会」と呼ばれるカンファレンスで発表を行ってます。

現在までに、川崎大会と島根大会に川崎市教育委員会、川崎市立上丸子小学校の先生と一緒に参加、登壇を行いました。 川崎大会では「寺子屋事業」に関する論文。島根大会では「クラブ活動」に関する論文を発表してます。

なお、両大会で発表した論文は、インターネット上に公開されているので、見てみてください。

川崎大会:川崎市「地域の寺子屋事業」とNTTテクノクロスで取り組んだ「小学生向け プログラミング教育」

島根大会:川崎市立上丸子小学校と NTT テクノクロスで取り組んだ IT エンジニアの職業体験を取り入れた「小学生向けプログラミングクラブ」

2020年度も鹿児島大会が開催予定なので、論文を作成し、登壇を考えています。

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⑤ オンラインコンテンツ公開

2020年4月・5月に、今年度(2020年度)の川崎市立上丸子小学校 パソコンクラブで使うアプリのサンプルをScratch公式サイト、アプリの作り方をまとめた資料をGitHubで無料公開 しました。公開したアプリと資料は、私や弊社社員、他社社員と協力して作成しました。(詳しくは、以下URLを参照してください。)

学校や自宅で、Scratchを使ったプログラミングを初めてみたい方、コミュニケーションツールとして活用頂ければと思っています。

アプリのサンプル集(https://scratch.mit.edu/studios/26309452/)

アプリの作り方資料(https://github.com/jincho-ntttx?tab=repositories)

今後も不定期ではありますが、コンテンツの拡充を行っていく考えですので、楽しみにして頂けると非常に嬉しいです。

4.最後に

ブログを読んで頂き、ありがとう御座いました。

次回の更新は、8月を予定してます。 掲載内容は、今回のブログでも触れた 「みなとみらい本町フェスティバル(横浜市立本町小学校)」を弊社 福島 が紹介します。

次回も楽しみにして頂ければと思います。それでは。

著者プロフィール
神長 貴博(ジンチョウ タカヒロ)
神長 貴博(ジンチョウ タカヒロ)

IoTイノベーション事業部 第1ビジネスユニット所属

iOS・Androidアプリの開発をしてます。趣味は「ランニング(横浜マラソン、川崎国際多摩川マラソン等の大会に出場してます)」と「食べ歩き」です。