VRの現状 - スマホブラウザでお手軽VR 第1回-
Web技術を使った手軽なVR体験とコンテンツ作成にチャレンジしてみたいと思います。第1回はVR元年と言われている現状について解説します。
ソフト道場のがっつり試し食い!
- 2016年06月06日公開
はじめに
皆様、はじめまして。NTTソフトウェアの鈴木雅貴と申します。HTML5等のWeb技術を中心に活動しています。今回は新しく始まった「ソフト道場 がっつり試し食い!」のコーナーで、Web技術を使った手軽なVR体験とコンテンツ作成にチャレンジしてみたいと思います。第1回はVR元年と言われている現状について解説します。ちなみに、キノコ類をスープにするときには水から茹でると圧倒的によい出汁が出ますよ。
VRとは
VRとはVirtual Realityの略で、日本語ではよく仮想現実と言われます(仮想現実という訳語は適切ではないという話もありますが、ここでは踏み込みません)。人工的に構築された世界を現実のように体感させる技術、および構築された世界を指しますが、ここ最近VRといえば次のようなイメージを指すことがほとんどです。
ヘッドマウントディスプレイにより周囲360度を人工的に構築した映像にすることで、別世界の体験をさせる
特徴的なものはヘッドマウントディスプレイです。頭の動きをトラッキングするセンサーが内蔵されており、頭の向きや動きに応じて映像がリアルタイムで変化するようになっています。つまり、右に振り向けば右側の映像、上を仰げば上側の映像を見せられます。外の視界も遮られるため、まさにそこにいるような圧倒的な没入感を体験できます。
ちなみに、よく似たものにAR(Augmented Reality: 拡張現実)がありますが、これは外の視界に新しく生成した情報を追加して表示するものです。ドラゴンボールのスカウターを想像していただければわかりやすいかと。
で、今年はVR元年と言われているわけですが、その理由は、VR用ヘッドマウントディスプレイが次々と登場するからです。
VR用ヘッドマウントディスプレイ
2016年登場(予定を含む)の主なVR用ヘッドマウントディスプレイには以下があります。
Oculus RiftはPCに、PlayStation VRはPlaystation4に接続するタイプです。これらが10万円前後と現実的に手の届く価格で手に入ることから、大きく注目されています。
ただ、手が届くと言ってもいろいろ揃えて10万円、ちょっと厳しいですよね…というあなた、いい話がありますよ!
スマートフォンを使ったカジュアルなヘッドマウントディスプレイ
実は、皆さんがお持ちのスマートフォンを利用して、ヘッドマウントディスプレイができてしまうのです。というのも、
- 高解像度のディスプレイがある
- ジャイロで動きをトラッキングできる
- それなりのCPU・GPUが付いている
と、スマートフォンにはヘッドマウントディスプレイに必要なものが揃っているのです。ですので、スマートフォンを頭に固定し、外の視界を遮ってあげれば、カジュアルなヘッドマウントディスプレイのできあがりです。
これらは自作もできなくはないですが、現在は上記を実現する専用ゴーグルがたくさん出ていまして、代表的なものをあげると
紙製だったり視度調整がなかったりですが、2千円もかからずVR環境が手に入ります。しかも軽量、ポータブル!
今回はハコスコシリーズの中から、唯一のプラスチック製モデルであるDXを買ってみました。
頭部固定用のベルトがついています。また、覗き込むこのように2つに区切られています。
これは立体視を実現するためのものです。この区切られた部屋に合わせてスマートフォンの画面を2分割し、それぞれ右目用と左目用の映像を表示して立体視を実現しています。コンテンツを作成するときにはこのあたりをうまく作ってあげないといけません。
コンテンツの話
ということで、コンテンツを見てみましょう。
スマートフォンですとVR用の専用アプリを使うのもよいですが、今回はインストールが不要なWebブラウザ上で見られるものを試してみましょう。
Webブラウザで上記にアクセスすると、早速再生されます。画面左上のENTER VRをタップすると立体視向けの2分割画像になります。立体視にしなくても振り向いたり上を向いたりは体験できますので、是非お試しください。
弊社社員にも体験してもらいました。
最近、VR対応動画のポータルも登場しています。
これらはスマートフォンにも対応しています。また、VR専用スマートフォンアプリも続々登場しており、そのアプリを立ち上げてVRコンテンツを楽しむこともできます。
次回予告
そのVRコンテンツ、実はWeb技術を使って手軽に作ることができるのです。実は、先ほど紹介しましたMozVRのSecheltはその一例ですね。
今回の話はこのあたりにして、次回第2回は、Web技術でVRコンテンツを作ってみようと思います。
作品公開の場としてのWebに可能性を感じ入社。 XML関連業務や継続的インテグレーション社内普及活動などを経て、 2013年より新たに設立されたHTML5推進室の主要メンバーとしてWeb技術を推進している。 セミナーでの講演や書籍執筆などの活動も行っている。 著書に『HTML5プロフェッショナル認定試験 レベル1 対策テキスト&問題集』(マイナビ/共著)。得意領域はCSS。 調理歴20年超。本人も原因不明のアヒル好き。