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現場の知見を研修へ──NTTテクノクロスにおける道場研修講師 の10年

MicroCloudを利用するメリットや導入事例をご紹介します。VMwareの移行先の検討にあたり参考にしてください。

はじめに|現場の課題から始まった道場研修

IOWNデジタルツインプラットフォーム事業部 第三ビジネスユニットの森川です。
UbuntuをはじめとしたOSS製品のサポートや導入支援を行うチームに所属し、日々の業務ではマニュアルや公式ドキュメントだけでは解決できない課題に数多く直面しています。

OSSクラウド基盤トータルサービス

  • 実際の運用現場で遭遇したトラブル
  • ドキュメントには記載されていない注意点
  • 試行錯誤の中で得られた設計・運用の勘所

こうした 現場でしか得られない知見を、個人の経験で終わらせない。
そのための取り組みとして続いているのが、社内研修制度「道場研修」の講師活動です。

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社内道場研修の実施風景(2018年)

NTTテクノクロスでは、一般的な社外講師による研修に加え、社内の技術者自身が講師となり、得意分野を教える研修を長年継続しています。
現場経験に基づいたリアルな話ができること、 そして教える側にとっても知識を整理し、理解を深める機会になることが道場研修の大きな特徴です。

OSS製品のサポートや導入支援のチームに所属する私や同じチームのメンバーがこれまで道場講師として活動してきた取り組みについて紹介します。


※本記事に記載されている会社名、製品名、サービス名は、各社の登録商標または商標です。
本文中では説明のため、商標表記(®、™)を省略しています。

第1章|技術テーマの変遷と選定の考え方

道場研修の技術テーマは、「現場で必要とされるか」「継続的に価値を提供できるか」という観点で選定してきました。

技術テーマの変遷

技術テーマ

2025年度までの開催年数

2013年 PaaS(Cloud Foundry) 1年※初回のみ開催
2017年〜 Docker 9年目
2020年〜 Kubernetes 6年目


2013年|PaaS時代

2013年、OSSのPaaS製品であるCloud Foundryに業務で携わるようになったことをきっかけに、初めて道場研修を企画しました。


当時は、公式のデプロイツールの品質がまだ安定しておらず、また、受講者にとってPaaSの概念自体も馴染みの薄い状況でした。
そのため、演習や講義テキストの準備を進める中で、自身で最新情報をキャッチアップしながら進める必要があり、
苦労する点も多くありましたがそれでも、自身として初めての教える側に立つ経験となった研修を無事に実施することができました。

翌年度の開催を検討するうえで、受講者のアンケートなど踏まえて講師目線で当時としては先進的な技術で将来性も感じられましたが、

  • IaaSレイヤーに比べて実案件での適用シーンが限られており、社内ニーズがまだ十分に高
    まっていなかった

といった背景から、将来ニーズが高まった際に再開することを前提として継続開催の判断には至りませんでした。

2017年|コンテナ時代への転換

Cloud Foundryの研修を開催してから数年、世の中的にもDockerを中心としたコンテナ技術が急速に普及しました。

  • 開発環境と実行環境の差異を解消できる
  • チーム開発・運用の効率が大きく向上する

といった理由から、実務ニーズが明確になってきたため
同じチームのメンバーと共に Dockerをテーマにした研修 という形で道場研修講師を再開しました。

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Docker道場研修を立ち上げた初期の講師メンバー(2019年)

元々Dockerの開発元がPaaS事業者であったり、Cloud Foundry自体もバージョンアップを重ねる中で、
ユーザーアプリケーションの分離をコンテナ技術によって実現していたこともあり、
自身のバックグラウンドとも相性が良かったことも研修講師を再開するうえで大きなポイントでした。

Herokuのエンジニアが提唱した「The Twelve-Factor App(公式サイト: https://12factor.net/ja/ )」は、
クラウド上でデプロイされるWebアプリケーションのあるべき姿を 12個のプラクティスとして整理したもので、
当時の私はその思想が非常に実践的で洗練されていると感じている中で、
個人開発環境ですぐに試すことができるDockerを通じてTwelve-Factor Appの考え方に触れることで、
より身近な形でクラウドサービス向けの設計思想を学べる点が優れていると感じていました。

2020年|オーケストレーション時代

Dockerの研修開始から数年がたち、コンテナ利用が広がるにつれ徐々にオーケストレーションツールとしてデファクトスタンダードになりつつあったKubernetesの研修の社内ニーズの高まりを感じていたことから
2020年からはKubernetesを新たな研修テーマとして企画し、 Dockerと並行して別日程で開催するようになりました。

初回の開催は座学と演習で2日間の日程でカリキュラムを組んでいましたが、翌年からは、より普遍的な要素にフォーカスを当てて
基本部分の内容に集中するかたちを目指して研修日程を1日に変更して開催するなど
毎年受講者の傾向や研修実施後のアンケートの結果を踏まえて翌年にフィードバックしながら進めてきました。

第2章|道場研修を支える体制と社内への定着

講師体制の変化

研修 開始年 開始時の講師人数 現在の講師人数
Docker 2017年 3名 4名
Kubernetes 2020年 3名 6名

道場研修を継続するうえでの課題として挙がったものの代表例として特定の個人に依存しない講師体制づくり がありました。

講師が固定化すると、 メイン業務である案件対応にトラブルが発生した場合、
開催にあたって最新バージョンでの演習構築手順整備およびテキストの最新化などの準備工数の確保や
研修当日の開催そのものが難しくなるリスクがあります。

こうした課題への対策として、同じチーム内の若手メンバーを講師補助として迎え入れたり、
グループ内で横断的な技術検証を担うグループ会社への出向から戻ったメンバーに声をかけるなど、
メンバー増強の取り組み範囲を段階的に広げてきました。
その結果、体制の強化と知見の継承を並行して進められるようになりました。

開催スタイルと継続性

道場研修が継続して開催できている背景には、 社内からの一定のニーズと評価があります。

開催にあたっては年間スケジュールを固定せず、を踏まえて柔軟に判断していますが、
それでも 2017年以降の開催について年に1〜2回程度の開催が継続していることは、
現場からのニーズが途切れていないことの表れだと考えています。

社会情勢の変化により一時的にオンライン開催となった時期もありましたが、
その際も講師メンバーは同じ場所に集まり、 対面で連携しながら研修を実施するなど
メンバーで連携を図り変化に対応し続けてきました。

受講者の傾向

Docker研修では、配属1〜3年目の若手メンバーの参加が半数近くを占めています。


毎回研修の冒頭で行う自己紹介時に必ず確認している受講動機によると
OJT指導者からの推奨スキルの研修として選定したという声も多く基礎を体系的に学びたいというニーズに加え、

  • 同一年でDocker研修とKubernetes研修の両方を受講
  • 段階的なスキルアップを目的とした参加


といった傾向も見られています。
そういった実績からも私たちのチームが主催している研修は、
現場で必要とされ、自発的に選ばれている研修として、 社内に定着してきました。

おわりに|これからの取り組み

技術はこれからも進化を続け、流行や主流となる技術も変化していきます。
それに伴い、現場で求められるスキルや知識も、常にアップデートされていくでしょう。


道場研修の講師活動は、そうした現場の変化に合わせて、これからも形を変えながら継続していく取り組みです。
そして、その積み重ねは、私たちが所属するチームの活動にも活かされており、
実際に検証などを通しての躓きどころを踏まえたサポートを提供できることが、私たちの強みだと考えています。

OSS製品のサポートでお困りの内容がありましたら【お問い合わせ】まで、ぜひ問い合わせください。


※本記事に記載されている製品名・サービス名は、各社の登録商標または商標です。
Docker は Docker, Inc. の登録商標です。
Kubernetes は The Linux Foundation(Cloud Native Computing Foundation)の登録商標です。
Ubuntu は Canonical Ltd. の登録商標です。
Cloud Foundry は Cloud Foundry Foundation の登録商標です。
Heroku は Salesforce, Inc. の登録商標です。

連載シリーズ
著者プロフィール
森川健
森川健

NTTテクノクロス株式会社
IOWNデジタルツインプラットフォーム事業部
第三ビジネスユニット